IPO攻略メモ

初値予想ツールを活用してIPO攻略!

IPO攻略法

IPO攻略の基本と初値予想ツールの活用

2015年のIPOは97本あり、そのすべてに当選して初値で売却すると、1年で約1500万円(2015年)儲かります。その内、公募割れしたIPOは11本で、すべてを初値で売却すると約19万円の赤字になります。一見すると、ひたすら抽選に参加して当たったIPOを初値で売却すれば必ず儲けるように見えますね。この赤字は無視できるように思えるからです。
確かにそうなのですが、実は、よく調べてみると、公募割れするようなIPOはむしろ当たり易く、高値高騰するIPOは当たりにくいことが分かります。
という訳で、IPOは『抽選に申し込んで当たったら初値で売却』、これをひたすら続けることだけなのですが、しかし、公募割れするようなIPOを見分けてそれを避けることが重要になってくるのです。
IPO攻略法
初値の形成に影響する要素はいろいろあります。
(1)上場企業の成長性と人気
(2)株式市場の状況(2、3ヶ月)
(3)上場日の重複
(4)ロックアップ
(5)公募価格
(6)公募株数
(7)上場する株式市場(東証、マザーズなど)

この中で純粋に数字(データ)だけで考えることができるところだけを考慮してみましょう。それは、公募価格と公募株数です。これを掛け算すると、大体、吸収金額(規模)になります。一般的に、吸収規模と初値の形成には関連が認められていて、需要と供給の関係から説明されています。「需給相場」という言葉を知りましたが、これは、景気・業績などとは直接関係なく、市場内部の需給関係だけで動く相場をさしています。考えて見れは、これはすごく当然のことですね。吸収規模の小さいIPOはコップ、大きいIPOはバケツに例えられるでしょう。コップはすぐに水がいっぱいになりあふれてしまいますが、バケツにはなかなか水たまりませんね。それで、コップに例えられる吸収規模の小さなIPOは高値高騰が期待できるのです。一方、バケツに例えられる吸収規模の大きなIPOの場合は、高値高騰が期待できず、公募割れの可能性も大きいのです。

例を上げて考えてみましょう。 郵政3社の吸収規模は、1兆円を超えています。それで、かなりの人気がありましたが、初値はそれほど高くはなりませんでした。一方、吸収規模5億円以下のIPOでは、その約60%で10万円以上の初値上昇が見られます。吸収規模は、初値の高騰や公募割れを考慮する点で重要な要素であることが分かります。公募割れしないようなIPOを見分けることができるなら決して損することはないのです。

さらに、重要なもう一つの点は、公募割れするIPOや初値上昇率の低いIPOほど当たり易いという点です。IPOの規模を便宜上、小型、中型、大型の三つに分類して、初値の公募割れする割合、初値が10万円以上値上がりする割合、また、IPOの株数が全体の株数に対して占める割合を自動計算して表にして出力してみました。この場合、吸収金額1000億円以上の企業は除いて計算します。株数が多すぎて他のIPOが見えなくなってしまうからです。特に、郵政3社の場合がそうです。


この表が示していることは、2014年以降のすべての集計で考えれば、たとえば、吸収金額が20億円以下の小型のIPOは、公募割れする確率は2%に過ぎず、約60%が10万円以上上昇するが、株数が少ないので当選確率は約10%にすぎないということです。一方、吸収金額が100億円以上の大型のIPOは公募割れする確率は約40%と高く、しかも、10万円以上上昇するが確率は0%で、厄介なことに当選確率が約75%と高いのです。
大型の株は注意が必要であることは明らかですね。 一方、小型のIPOはなかなか当たらないのです。10%、つまり、IPOに10回当たってやっと1回しか当たらないのです。いくら初値の高騰が期待できても、当たらなければ始まらないのは言うまでもありません。

ではどのように考えたらよいのでしょうか。ここで「期待値」という考え方が役立ちます。 期待値とは、「益×確率」のことです。長く続けて行くなら結果は期待値で決まってくるはずだという確率の考え方です。

大型のIPOは当たりやすいという利点がありますから、成長性や人気などにより初値の上昇の見込みがあるなら、期待値は大きくなります。一方、小型案件は、初値の上昇率が高いのですから、抽選にたくさん申し込んで当選確率を高めるようにするなら期待値を高めることができます。・・・結論は至って常識的なことですね。

では、「期待値」を大きくするという考え方でIPOを攻略していきましょう。そうする上でどうしても必要なのが、公募割れするかどうかをできるだけ正確に見極めることだということが分かりました。つまり、初値をある程度予測できるようになることが必要だということです。それで、初値が吸収金額に大きく依存しているという特徴を元に、初値を予想する簡単なツールを作ってみました。吸収規模による初値の傾向をかなり正確に反映しているので、とても強力な道具になります。

当サイト「IPO攻略メモ」では、初値予想ツールをはじめ、様々な機能をご利用いただけますので、メモ代わりにご活用ください。ご利用方法はこちらをご覧ください。⇒当サイトの利用方法



証券市場-東証かマザーズか

吸収規模と関連して初値の形成に影響を与えるのは、証券市場です。2016年の日本の主な証券市場を下表に示します。

市場の種別 売買高(株) 売買高(円) 時価総額 上場会社数
東証第1部 約430億 約44兆 約510兆 1954
東証倍2部 約13億 約3700億 約5兆9000億 543
マザーズ 約16億 約3兆7000億 約4兆 225
ジャスダック 約18億 約9300億 約7兆9000億 775

市場の規模だけでは判断できませんが、市場が大きければそれだけ需要を満たし易くなることは確かでしょう。従って、公募割れするか否かの1つの判断材料になります。

証券市場-東証かマザーズか'もちろん、証券市場はIPOの質の判断材料にもなります。
(1)東証一部は、代表的な大手優良企業(時価総額250億円以上)
(2)東証二部は、多くの大企業、中堅企業(時価総額20億円以上)
(3)マザーズは、新興企業向け市場(時価総額10億円以上。「10年以内東証1部にステップアップをする」ための市場)
(4)ジャスダックは、新興企業向け市場(時価総額5億円以上。スタンダード-1年間の利益が1億円以上、または、時価総額が50億円以上- とグロースがある)

マザーズへの上場企業は、東証第1部へのステップアップの1つと考えている場合が多く、成長性の高い企業と考えられています。それで、マザーズで、しかも吸収規模の小さな案件はIPOで高い評価が与えてられているのです。

2023/02/23